異汗性湿疹を漢方で治す

二つの漢方薬

 

現在、中国から輸入されている皮膚疾患用の薬には二種類のものがあります。どちらの薬も水虫薬として使用されることが多いようです。

 

「華陀膏(かだこう)」は、角質軟化作用と殺菌作用のあるサリチル酸に、生薬の「ろう梅油」を加えた軟膏です。この軟膏が、私たちの国でも使用されるようになったのは、中国に遠征していた日本のバレーボールチームが、この薬を持ち帰ってからだということです。

 

黄色い花を咲かせる植物である「ろう梅」は、日本では薬用というよりは観賞用の庭木として愛用されているものです。この花やツボミからとった油には、抗菌作用や皮膚の再生を促進する働きがあり、深く肌の奥に浸透して治療効果を高めます。

 

一方「土槿皮(どきんぴ)チンキ」は、中国で白癬菌の治療に広く使われているマツ科の植物である土槿皮の抽出液に、サリチル酸と安息香酸を加えた液剤です。この液剤も華陀膏と同じように一日二回ぐらい患部に塗布します。

 

ジュクジュクとしていてかゆみのある湿潤性の皮膚疾患には華陀膏を、乾燥性のものには土槿皮チンキを使い分けるといいようです。また、中国漢方には古来より「皮膚は内臓の鏡」という考え方があり、頑固な皮膚病の治療には内服薬を併用することが一般的です。そうして血液をサラサラにすることで血行を良くすることも、皮膚疾患の治療に効果的なのです。